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標準療法の説明を受けるにあたって。[ステップ6 その治療は標準療法か]

 標準治療は、誰が、どこでどのように定めるのでしょうか。たとえば、乳がんでいえば、おおきく3つのガイドラインがあります。NIH(米国立衛生研究所)が出すもの, ザンクトガレンの学会で毎年確認されるもの、NCCNが出すものです。このように標準療法のガイドライン作りをとっても数種類存在します。さらに、日本国内の事情を反映する意味で、日本乳癌学会でもガイドラインを作っています。しかもそれぞれのガイドラインは学会により中身が多少違います。ですので、一番大切なのはここの病院あるいは医師が自分の直面する医療現場でどのガイドラインを引用するかのコンセンサスをとることが一番大切なのかもしれません。

スイスのザンクトガレンという都市で2年に1度行われる、世界中の乳がん専門家が集まる大きな会議で定められます。その会議では、2年間の間に世界中で公式に行われている大規模臨床試験の結果が議論されます。まさに世界の最高レベルのエビデンスが検討されるわけです。NCCNはもっと頻回に会議をし常に新しい治療を検討しています。

 そこで標準と定められた治療は、ガイドラインという形になります。治療の教科書ともいうべきもので、各国の専門家の学会や、

 しかし、エビデンスという言葉がもっと普通に使われているアメリカでも、「これがザンクトガレンの決定ですよ」とか「NCCNではこうですよ」と医師が言ったって、それを瞬時に理解できる患者さんはそうはいません。「それは何ですか?」というような反応が返ってきます。

患者さんに理解していただくためには、まずそれぞれの患者さんの現在の状態を示します。これから目指す結果(ゴール)を踏まえた上で、どのような治療法を使うのか、治療法の持つエビデンス、根拠を説明しながら話し合っていくということになります。
たとえば、乳がんでII期、乳房にある原発巣の腫瘍の直径は2センチ、脇の下のリンパ節への転移は4個という患者さんが来たとしたら、どうするでしょう。私は乳がんの全体像からもう一度話すようにしています。

「乳がんには、I期~IV期があり、I期では原発の腫瘍の直径が2センチ未満でリンパ節転移がありません。IV期では肺や肝臓、骨などに遠隔転移があって、基本的にこの状態からがんが治るということはありません。あなたのがんは2期だから、腫瘍が少し大きく、リンパ節への転移もあります。もともとの場所から少し広がっている状態だから、乳房だけの病気ではなく、全身の病気として捉える必要があるでしょう。まずはがんが全身に広がることを食い止めることを目的に治療しましょう」

ここまでが、病気の全体像と治療の目的です。次に治療法を説明するわけです。
「乳房にある原発の腫瘍を取り除くには手術があります。しかし、これは局所的な治療に過ぎません。全身に広がる可能性のあるがん細胞を視野に入れて治療を行うには、抗がん剤による化学療法やホルモン療法という治療があります。手術で、乳房全体ではなく腫瘍だけを取り除いた場合、取り残したがん細胞から再発する可能性があります。これを抑えるためには放射線療法というのがあります。これらの治療をどういうふうに組み合わせるかを考えましょう。標準治療としては手術をこのように行います。抗がん剤のタキソールをどれぐらい何回行います。手術後はこのようなことが予想され、薬の副作用にはこのようなものがあります。標準治療というのは、世界的に納得されている治療法で、確実性がもっとも高いと考えられます」

もちろん、一気にここまで説明するわけではありません。1回説明して、また1週間後に患者さんが理解しているかどうかを確認します。説明される患者さんも会話の中だけではなかなか理解しづらいでしょう。そして、実は説明する医師も大変です。それぞれの患者さんの理解度に合わせて説明を行っていかなければならないのです。

だからといってお互いに手間を省いて、「先生が勧めるもので大丈夫、言われるとおりにやればいい」では、患者さんが非常に損をすることになります。
患者さんの立場としては、「どのような病気の治療にも、標準治療という教科書的なものが必ずある」ということをまず知っておいてほしいのです。次に、標準治療は、常にアップデートされているということも、知っておいてください。毎年、世界中で専門の学会が開かれ、治療の情報は常に新しくなっていくのです。医師も常に、どこに「最新の標準」があるのかを勉強していなければならないのです。勉強し、それを目の前の患者さんに生かしていく必要があります。日本でも、それぞれの病気に対する標準治療をガイドライン化して整備しようといます、ただまだまだ不十分で、医療従事者がガイドラインを理解していない、また患者がどこでも手にとって読むことができるというようなものではありません。学会によって、ガイドラインの整備の状況もまちまちです。
 
それでも、標準治療は何かということは、必ず医師に確認してください。きちんと勉強している医師であれば、国内のガイドラインと世界標準については知っているはずです。

ステップ6のおさらいです。まずは多くの専門家の合意が得られている、ガイドラインにそった、根拠のある標準療法を選んでください。複数の選択肢を提示された場合、その中で自分にはどれがいちばんあっているかを一緒に医療者、家族と考えましょう。もし、標準療法でない治療を勧められたら、なぜそのような治療が勧められるのかを確認しましょう。臨床試験あるいは治験などのオプションは、標準治療を理解した上で視野に入れましょう。最新だからといわれて治療に飛びつかないでください。(^^)

患者にど標準療法をしってもらうか。

Twitterのアップデートはできるのですが、ブログは少しサボり気味です。
すみません。(^^)

さてスイスのザンクトガレンという都市で2年に1度行われる、世界中の乳がん専門家が集まる大きな会議で定められます。その会議では、2年間の間に世界中で公式に行われている大規模臨床試験の結果が議論されます。まさに世界の最高レベルのエビデンスが検討されるわけです。又、NCCNという大きなガイドラインを作る会もとても大切です。

 そこで標準と定められた治療は、ガイドラインという形になります。治療の教科書ともいうべきもので、各国の専門家の学会や、アメリカでいえばNIH(米国保健省)などが細かい治療の手順などをまとめたものです。
 しかし、エビデンスという言葉がもっと普通に使われているアメリカでも、「これがザンクトガレンの決定ですよ」とか「NIHではこうですよ」と医師が言ったって、それを瞬時に理解できる患者さんはそうはいません。「それは何ですか?」というような反応が返ってきます。

患者さんに理解していただくためには、まずそれぞれの患者さんの現在の状態を示します。これから目指す結果(ゴール)を踏まえた上で、どのような治療法を使うのか、治療法の持つエビデンス、根拠を説明しながら話し合っていくということになります。

 たとえば、乳がんでII期、乳房にある原発巣の腫瘍の直径は2センチ、脇の下のリンパ節への転移は4個という患者さんが来たとしたら、どうするでしょう。私は乳がんの全体像からもう一度話すようにしています。
「乳がんには、I期~IV期があり、I期では原発の腫瘍の直径が2センチ未満でリンパ節転移がありません。IV期では肺や肝臓、骨などに遠隔転移があって、基本的にこの状態からがんが治るということはありません。あなたのがんは2期だから、腫瘍が少し大きく、リンパ節への転移もあります。もともとの場所から少し広がっている状態だから、乳房だけの病気ではなく、全身の病気として捉える必要があるでしょう。まずはがんが全身に広がることを食い止めることを目的に治療しましょう」

ここまでが、病気の全体像と治療の目的です。次に治療法を説明するわけです。
「乳房にある原発の腫瘍を取り除くには手術があります。しかし、これは局所的な治療に過ぎません。全身に広がる可能性のあるがん細胞を視野に入れて治療を行うには、抗がん剤による化学療法やホルモン療法という治療があります。手術で、乳房全体ではなく腫瘍だけを取り除いた場合、取り残したがん細胞から再発する可能性があります。これを抑えるためには放射線療法というのがあります。これらの治療をどういうふうに組み合わせるかを考えましょう。標準治療としては手術をこのように行います。抗がん剤のタキソールをどれぐらい何回行います。手術後はこのようなことが予想され、薬の副作用にはこのようなものがあります。標準治療というのは、世界的に納得されている治療法で、確実性がもっとも高いと考えられます」

もちろん、一気にここまで説明するわけではありません。1回説明して、また1週間後に患者さんが理解しているかどうかを確認します。説明される患者さんも会話の中だけではなかなか理解しづらいでしょう。そして、実は説明する医師も大変です。それぞれの患者さんの理解度に合わせて説明を行っていかなければならないのです。
だからといってお互いに手間を省いて、「先生が勧めるもので大丈夫、言われるとおりにやればいい」では、患者さんが非常に損をすることになります。

患者さんの立場としては、「どのような病気の治療にも、標準治療という教科書的なものが必ずある」ということをまず知っておいてほしいのです。次に、標準治療は、常にアップデートされているということも、知っておいてください。毎年、世界中で専門の学会が開かれ、治療の情報は常に新しくなっていくのです。医師も常に、どこに「最新の標準」があるのかを勉強していなければならないのです。勉強し、それを目の前の患者さんに生かしていく必要があります。ただし日本では、それぞれの病気に対する標準治療をガイドライン化して整備しようという動きはあるものの、まだまだ不十分で、患者がどこでも手にとって読むことができるというようなものではありません。学会によって、ガイドラインの整備の状況もまちまちです。

 それでも、標準治療は何かということは、必ず医師に確認してください。きちんと勉強している医師であれば、国内のガイドラインはなくても、世界標準については知っているはずです。
ステップ6のおさらいです。まずは多くの専門家の合意が得られている、ガイドラインにそった、根拠のある標準療法を選んでください。複数の選択肢を提示された場合、その中で自分にはどれがいちばんあっているかを一緒に医療者、家族と考えましょう。もし、標準療法でない治療を勧められたら、なぜそのような治療が勧められるのかを確認しましょう。

臨床試験などのオプションは、標準治療を試した上で視野に入れましょう。

[ステップ6 その治療(最新治療)は標準療法か] エビデンスを作るのは難しい

日本では、これまで比較的小規模の臨床試験が行われてきました。例えばある薬が60人中40人に効果があったとしましょう。この薬はエビデンスがあると言えるでしょうか。

ある治療法が標準療法になるための臨床試験、ある薬が効果があるかどうかの臨床試験は、数十人という単位、一人の医師が一つの病院で行えるような規模ではありません。そういう臨床試験が世界中で行われて、何千人という単位になったときに初めてエビデンスとして認められるのです。今の臨床試験は何千人という単位で行われています。ですから、僕のいる病院では60人という単位は確立されたエビデンスとは言いきれません。でも何かのきっかけになるんのでとても重要な医療の前進のステップになると思います。また、非常に珍しい病気だと60人の経験でもとても重要になってきます。特に小児がんあるいは希な癌腫に関しては症例数が限られるためにエビデンスをどのように考慮するかは臨床医としての腕の見せどころかもしれません。

しかし、臨床試験を寄せ集めるのは、実はかなり難しいことです。同じ条件で試験を行い、同じ条件で効果を判定しなくてはいけません。そして、数を多く集めなくてはいけません。このため、アメリカで行われる臨床試験では、全国的に申し合わせて試験を行い、どのような試験がどの病院で行われるか、インターネットなどで情報が公開されます。日本でも臨床試験あるいは治験の情報開示が国民に求められると思います。

[ステップ6 その治療(最新治療)は標準療法か] あなたの治療のエビデンスレベル?

エビデンス(直訳:証拠)という言葉を何度か使ってきましたが、皆さんはエビデンスとはどういうものだと思っていますか? エビデンスという言葉を見聞きするようになって、まだ10年に満たないと思います。書籍や雑誌の中では見かけるけれど、実際の診療の場面で患者と医師との会話の中で使われることもまだ稀でしょう。エビデンスとは日本語では「科学的根拠」などと訳されることが多いようです。

ではその実態はどうか、なにをもって「科学的根拠」というかということになると、あいまいであることも多いものです。エビデンスにもいろいろあって、それが医療の現場でどれぐらいの信頼性を持っているかによってレベルが違ってきます。

 エビデンスは大きく分けて、四段階に分けられます。
・信頼度1 は無作為に選んだ患者さん大勢に参加してもらった複数の臨床試験の論文やデータを集めて検討した結果です。

・信頼度2 症例対照研究。無作為でない二つのグループの患者さんの治療結果を比較する(昔に比べれば…というのも、この中に入ります)あるいは比較しなくても一定の信頼できる結果を出し。大奥の専門家がその結果に対して納得できる。

・信頼度3 患者調査。比較試験はしないが、きちんとした計画に基づいて臨床試験を行ったもの。(私の経験によれば…。というのがこれにあたります)

・信頼度4 専門家委員会や権威者の意見、症例報告
(効いた!治った!というレベルです)何故効いたかよくわからない、でも効いた。あるいはもっともらしい説明をつけているが、科学的根拠がない。


 信頼度1がエビデンスとしては一番信頼できるものです。そこから順に信頼性は下がっていきます。ですから、エビデンスがあるかどうかということの次に、「どのレベルのエビデンスなのか」ということも重要になってきます。一度医師に聞いてみてください、じたばたしたらおもしろいかも知れないです。笑
あるいは、じたばたしないで、ふんぞり返るかも知れないですね。俺のやり方でついてこいーーーーーーーーーーーー。

 科学的といっても、医療に関しては、「ネズミで行った試験で」とか「培養した細胞で行った試験で」という場合には、臨床的にエビデンスがあるとはいいません。培養細胞やネズミで行う実験は、人間に行う実験のはるかに前の段階の研究です。大切なものではあっても、培養細胞やネズミで出た結果は、人間には当てはめられないのです。あくまでも人間で行った臨床試験や治療による結果でなければ、信頼度はゼロだということを覚えておいてください。

また、人間に対して行われたことの結果であればよいかというと、それだけではエビデンスになりません。たとえば、患者さんが「これが効いた」という体験談を書き、それを複数集めてあったとしても、それは何の判断の根拠にもなりません。公平にその結果を判断する手段が講じられていませんし、その治療をした患者さんの背景がどうだったのか、どれぐらいの人数がその治療を行ったのか、そのうち何人に効いたのか、何をもって効いたと判断するのかもわからないものだからです。エビデンスレベルの高いものは、これらがすべて明らかにされています。

あなたの受けている治療のエビデンスレベルは何番ですか?
一度、先生に聞いてみてください。笑

[ステップ6 その治療(最新治療)は標準療法か]

標準療法というのは最大多数の人が確実に延命する治療法です。日欧米で、各学会ごとに毎年の総会などで、「この病気の一番いい治療法はこれだよ」というガイドラインが設けられます。学会に勉強に来た医師はそれに基づいて治療を行います。アメリカでは、国が様々ながんについて、ガイドラインを設けていて、病院ではそのガイドラインに基づいた治療が行われるようになっています。この標準治療は、全ての人に最大限の効果を生むという確実な保障はできませんが、少なくとも、いちばんよい確率で、一番よい結果を生む可能性がある治療だといえます。日本でも多くの学会でガイドラインを作りを行っており、これをいかに一般病院で定着させるかが今後の課題かもしれません。

これに対して最新治療は、新しい治療法、最近効果があるかもしれないと試され始めた、もしくはその治療法で効いた人がいたという可能性である治療法が多いです。新治療が標準になるには、必ず臨床試験が行われなければなりません。

ですから、最新治療の情報は、情報としては非常におもしろいのですが、自分に使える治療法なのかという問題とは別に考えなくてはいけません。母の録画してくれた番組のディレクターはそのことに気づいていないようでした。

例えば、新しい治療法としてよく紹介される放射線治療に、重量子線治療、陽子線治療があります。高額で大規模な設備を必要としますので、現在非常に限られた一部の施設でしか受けることができない治療です。もちろん保険もききません。こういった治療、じゃあ、全国どこにいても、場合によっては海外からでも必ず飛びつかなければならないような治療かといったら、そんなことはありません。

我々の病院(MDアンダーソンがんセンター)でも設備を作っていますが、現時点ではそちらを標準療法にするというよりは、標準療法の中に組み込んでどういう実績を作っていこうかという段階です。標準療法になる可能性はあるけれど、今はまだ限られたエビデンス(有効な治療だという科学的な根拠)だという状況です。

日本で、「これが最新治療だ」という報道がなされるときに、それが標準療法として認められているかどうかに触れないことが多いです。ですから、最新治療の情報を得たら、まず、自分でそれが標準治療とどのような関係にあるのかを調べなくてはいけません。インターネットで調べる、患者会に問い合わせる、ドクターに聞くこともできます。

自分の治療を決める際に、とにかくまず、世界的に標準となっている治療がどういうものなのかを調べてください。次に、その標準をさらに効果的にするために自分はどうすべきなのかをドクターに相談すべきです。そうすれば医師は「こういう最新治療があるんですよ」とかこういう臨床試験がありますという情報を出してくれるでしょう。

医師の方から最新治療の話をされたら、それが標準療法になっているのか、臨床試験がすでに行われているのか、新しすぎてまだ何もわかっていないのかその辺の位置関係をはっきりさせなくてはいけません。

最近では、日本からも40代以下の若手の先生たちが積極的に海外に出かけていって、世界的な学会で示される標準治療のガイドラインを勉強して来ています。また、こういった勉強家の医師たちは、インターネットを使って、その情報を常に最新のものに更新する努力を続けています。日本でも、乳がん、胃がんなどの学界で、世界の標準療法を取り入れたり、日本での標準療法を示そうという試みがなされています。新しい治療に飛びつく前に、あなたが医師に確認することは、「標準療法は何か」ということなのです。

プロフィール

チームオンコロジー(上野直人)

Author:チームオンコロジー(上野直人)
米国で腫瘍内科医をしています。日本のがん患者さんと医療従事者にMDアンダーソンがんセンターにおけるチーム医療をしってもらい、よりよく「がん」という病気に取り組んでほしいと思ってこのサイトをたちげました。

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