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患者にど標準療法をしってもらうか。

Twitterのアップデートはできるのですが、ブログは少しサボり気味です。
すみません。(^^)

さてスイスのザンクトガレンという都市で2年に1度行われる、世界中の乳がん専門家が集まる大きな会議で定められます。その会議では、2年間の間に世界中で公式に行われている大規模臨床試験の結果が議論されます。まさに世界の最高レベルのエビデンスが検討されるわけです。又、NCCNという大きなガイドラインを作る会もとても大切です。

 そこで標準と定められた治療は、ガイドラインという形になります。治療の教科書ともいうべきもので、各国の専門家の学会や、アメリカでいえばNIH(米国保健省)などが細かい治療の手順などをまとめたものです。
 しかし、エビデンスという言葉がもっと普通に使われているアメリカでも、「これがザンクトガレンの決定ですよ」とか「NIHではこうですよ」と医師が言ったって、それを瞬時に理解できる患者さんはそうはいません。「それは何ですか?」というような反応が返ってきます。

患者さんに理解していただくためには、まずそれぞれの患者さんの現在の状態を示します。これから目指す結果(ゴール)を踏まえた上で、どのような治療法を使うのか、治療法の持つエビデンス、根拠を説明しながら話し合っていくということになります。

 たとえば、乳がんでII期、乳房にある原発巣の腫瘍の直径は2センチ、脇の下のリンパ節への転移は4個という患者さんが来たとしたら、どうするでしょう。私は乳がんの全体像からもう一度話すようにしています。
「乳がんには、I期~IV期があり、I期では原発の腫瘍の直径が2センチ未満でリンパ節転移がありません。IV期では肺や肝臓、骨などに遠隔転移があって、基本的にこの状態からがんが治るということはありません。あなたのがんは2期だから、腫瘍が少し大きく、リンパ節への転移もあります。もともとの場所から少し広がっている状態だから、乳房だけの病気ではなく、全身の病気として捉える必要があるでしょう。まずはがんが全身に広がることを食い止めることを目的に治療しましょう」

ここまでが、病気の全体像と治療の目的です。次に治療法を説明するわけです。
「乳房にある原発の腫瘍を取り除くには手術があります。しかし、これは局所的な治療に過ぎません。全身に広がる可能性のあるがん細胞を視野に入れて治療を行うには、抗がん剤による化学療法やホルモン療法という治療があります。手術で、乳房全体ではなく腫瘍だけを取り除いた場合、取り残したがん細胞から再発する可能性があります。これを抑えるためには放射線療法というのがあります。これらの治療をどういうふうに組み合わせるかを考えましょう。標準治療としては手術をこのように行います。抗がん剤のタキソールをどれぐらい何回行います。手術後はこのようなことが予想され、薬の副作用にはこのようなものがあります。標準治療というのは、世界的に納得されている治療法で、確実性がもっとも高いと考えられます」

もちろん、一気にここまで説明するわけではありません。1回説明して、また1週間後に患者さんが理解しているかどうかを確認します。説明される患者さんも会話の中だけではなかなか理解しづらいでしょう。そして、実は説明する医師も大変です。それぞれの患者さんの理解度に合わせて説明を行っていかなければならないのです。
だからといってお互いに手間を省いて、「先生が勧めるもので大丈夫、言われるとおりにやればいい」では、患者さんが非常に損をすることになります。

患者さんの立場としては、「どのような病気の治療にも、標準治療という教科書的なものが必ずある」ということをまず知っておいてほしいのです。次に、標準治療は、常にアップデートされているということも、知っておいてください。毎年、世界中で専門の学会が開かれ、治療の情報は常に新しくなっていくのです。医師も常に、どこに「最新の標準」があるのかを勉強していなければならないのです。勉強し、それを目の前の患者さんに生かしていく必要があります。ただし日本では、それぞれの病気に対する標準治療をガイドライン化して整備しようという動きはあるものの、まだまだ不十分で、患者がどこでも手にとって読むことができるというようなものではありません。学会によって、ガイドラインの整備の状況もまちまちです。

 それでも、標準治療は何かということは、必ず医師に確認してください。きちんと勉強している医師であれば、国内のガイドラインはなくても、世界標準については知っているはずです。
ステップ6のおさらいです。まずは多くの専門家の合意が得られている、ガイドラインにそった、根拠のある標準療法を選んでください。複数の選択肢を提示された場合、その中で自分にはどれがいちばんあっているかを一緒に医療者、家族と考えましょう。もし、標準療法でない治療を勧められたら、なぜそのような治療が勧められるのかを確認しましょう。

臨床試験などのオプションは、標準治療を試した上で視野に入れましょう。

コメント

がん患者ではない私が読めば、何の違和感もなく分かりやすい説明なのですが、当事者は冷静に理解するのは難しいでしょうね。かといって、常に家族が付き添うこともできないので、本人に説明した内容を文書化して、家族に渡すなどの工夫が必要かも知れませんね。

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目の前のお医者さまについて知っているのは
医師免許を持ってらっしゃることだけ。
こっちについて知ってるのは、なんだか危なそうな病気であることだけ。
ほかに入ってくるのは、曖昧な情報、口コミだけで、
あとはすべて、勘まかせ。

この目の前にいる人が、どれほどの知識と技術を備えているのか、
どれほどの意欲を持って日々生きている(勉強している)人なのか、
どんな実績があり、どんな仲間がいて、どんな戦略があるのか、
ほんとのところはなにひとつわからない。
調べれば調べるほど落ちていく罠。

相談と治療を重ね、つきあっているうちに
いずれわかる日が来るのかもしれないが、
それよりもこっちの命が短いかもしれない。
Dr.コトーが魅力的なのは、彼のスキルが高いからではなく、
彼を「知ってる」からだ、とつくづく思う。

セカンドオピニオンは、結果のレベルが不明なのに
高額で、かつ気力体力もいる。
気軽に電話して、友だちのように相談できるところはないものか・・・
そんなことを頭の片隅でつぶやきつつ、
誰の人生でもなく自分たちの人生なんだから、
ま、楽しく生きていこう、というあたりで落ち着くのです。

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主治医は標準治療が何か言わなかった

私が告知を受けた時、主治医は図に書いて丁寧な説明をしてくれました。
私が標準治療という言葉を知り、ステージ、リスク、ホルモン受容体によって組合わせがある事を知ったのは、退院後に買った乳がん本からでした。
癌=抗ガン剤=点滴、副作用は脱毛と吐き気、そんな風に思っていました。

病理検査の後に治療法が決定し、経口抗がん剤の投与になった時も、「へぇ~、今は飲む抗がん剤なんてあるんだ」ぐらいの単純な思いでした。
ホルモン受容体については、「あなたはホルモンが効くタイプなのでホルモン剤で~」と言う説明でした。

その後自分なりに勉強し、ネットで色んなサイトを検索、患者のブログで検査の事、薬の事等を知りました。

主治医の説明では概ね上野先生の説明と同じような内容を聞いていますが、私に質問力が無かったので(それは癌について何も知らないがために、質問するべき疑問さえ思いつかなかったという事です)後々、疑問がたくさん湧いてきました。

自分の治療が標準から外れていることを知り、大変なショックを受けました。
もちろん標準が全てではないですが、まずは標準から始めてそれから自分に最も合った治療に移りたかったです。

または、「標準治療ではこうですが、あなたの場合~なので~」という説明があれば、ここで質問が出たかも知れないですね。

私がLH-RHアゴニスト製剤を使いたいと思ったのは、それがザンクトガレンで決定した世界の標準治療だと知ったからでした。
これを知って主治医に「私の場合標準治療は~で、どうして~なのですか」と質問できたのでした。

標準治療を知る事は、患者としての第一歩、始まりの一歩だと思います。

やっぱり主治医からまず聞きたいです。
病理検査の結果が出て、治療法決定する時に聞くのが一番話が分かりやすいと思います。
でもそれ以前に乳がん本で基礎知識を入れておいた方が、ベターかなとも思います。
これは私の体験から思った事です。

ガン患者でなければ当たり前

和田様。全くその通りですね。患者であるかないかが大きな分かれ目ですね。

標準治療を知る事は、患者としての第一歩

標準治療を知る事は、患者としての第一歩、始まりの一歩だと思います。うーん名言ですね。確かにそうです。標準療法はすしで言えば特上ですから。

Re: 標準療法その他

頑張ってくださいね。患者会に入ってください。PanCanがいいのではないでしょうか?

Re: タイトルなし

なるほど、同意書にサインした気持ちは如何ですか?

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Re: タイトルなし

コメント有難うございます。やはり、患者が共に医療従事者と学ぶのが一番だと思います。
簡単なことでは無いですが、確実に患者力がつくと良い医療を受けられます。頑張ってください。
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プロフィール

チームオンコロジー(上野直人)

Author:チームオンコロジー(上野直人)
米国で腫瘍内科医をしています。日本のがん患者さんと医療従事者にMDアンダーソンがんセンターにおけるチーム医療をしってもらい、よりよく「がん」という病気に取り組んでほしいと思ってこのサイトをたちげました。

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