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[ステップ6 その治療(最新治療)は標準療法か]

標準療法というのは最大多数の人が確実に延命する治療法です。日欧米で、各学会ごとに毎年の総会などで、「この病気の一番いい治療法はこれだよ」というガイドラインが設けられます。学会に勉強に来た医師はそれに基づいて治療を行います。アメリカでは、国が様々ながんについて、ガイドラインを設けていて、病院ではそのガイドラインに基づいた治療が行われるようになっています。この標準治療は、全ての人に最大限の効果を生むという確実な保障はできませんが、少なくとも、いちばんよい確率で、一番よい結果を生む可能性がある治療だといえます。日本でも多くの学会でガイドラインを作りを行っており、これをいかに一般病院で定着させるかが今後の課題かもしれません。

これに対して最新治療は、新しい治療法、最近効果があるかもしれないと試され始めた、もしくはその治療法で効いた人がいたという可能性である治療法が多いです。新治療が標準になるには、必ず臨床試験が行われなければなりません。

ですから、最新治療の情報は、情報としては非常におもしろいのですが、自分に使える治療法なのかという問題とは別に考えなくてはいけません。母の録画してくれた番組のディレクターはそのことに気づいていないようでした。

例えば、新しい治療法としてよく紹介される放射線治療に、重量子線治療、陽子線治療があります。高額で大規模な設備を必要としますので、現在非常に限られた一部の施設でしか受けることができない治療です。もちろん保険もききません。こういった治療、じゃあ、全国どこにいても、場合によっては海外からでも必ず飛びつかなければならないような治療かといったら、そんなことはありません。

我々の病院(MDアンダーソンがんセンター)でも設備を作っていますが、現時点ではそちらを標準療法にするというよりは、標準療法の中に組み込んでどういう実績を作っていこうかという段階です。標準療法になる可能性はあるけれど、今はまだ限られたエビデンス(有効な治療だという科学的な根拠)だという状況です。

日本で、「これが最新治療だ」という報道がなされるときに、それが標準療法として認められているかどうかに触れないことが多いです。ですから、最新治療の情報を得たら、まず、自分でそれが標準治療とどのような関係にあるのかを調べなくてはいけません。インターネットで調べる、患者会に問い合わせる、ドクターに聞くこともできます。

自分の治療を決める際に、とにかくまず、世界的に標準となっている治療がどういうものなのかを調べてください。次に、その標準をさらに効果的にするために自分はどうすべきなのかをドクターに相談すべきです。そうすれば医師は「こういう最新治療があるんですよ」とかこういう臨床試験がありますという情報を出してくれるでしょう。

医師の方から最新治療の話をされたら、それが標準療法になっているのか、臨床試験がすでに行われているのか、新しすぎてまだ何もわかっていないのかその辺の位置関係をはっきりさせなくてはいけません。

最近では、日本からも40代以下の若手の先生たちが積極的に海外に出かけていって、世界的な学会で示される標準治療のガイドラインを勉強して来ています。また、こういった勉強家の医師たちは、インターネットを使って、その情報を常に最新のものに更新する努力を続けています。日本でも、乳がん、胃がんなどの学界で、世界の標準療法を取り入れたり、日本での標準療法を示そうという試みがなされています。新しい治療に飛びつく前に、あなたが医師に確認することは、「標準療法は何か」ということなのです。

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プロフィール

チームオンコロジー(上野直人)

Author:チームオンコロジー(上野直人)
米国で腫瘍内科医をしています。日本のがん患者さんと医療従事者にMDアンダーソンがんセンターにおけるチーム医療をしってもらい、よりよく「がん」という病気に取り組んでほしいと思ってこのサイトをたちげました。

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