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自分のカルテをつくろう! [ステップ3 情報を整理する]

 最近では、日本からアメリカまで、がんの治療を受けに来る患者さんも珍しくありません。これらの患者さんは、良い医療を受けることに非常に熱心なようですが、せっかくアメリカまではるばるお見えになるのに、ご自身ではまったく自分の病気に関する情報を持っていないことがままあります。
 日本の場合、医療機関がカルテや医療情報を提供してくれないことも未だに多く、出してほしいと言い出しにくい雰囲気もあります。しかし、患者さん自身が情報を携えてこなければ、はるばるアメリカまで来て、一から検査のしなおしということになります。これではは膨大な時間とお金の無駄になります。これがアメリカでなくて、国内で病院を変更するとしても同じことが言えます。

 一から検査ができればまだ良いほうです。実は、「どこが一なのか」、これは大変大切なことなのですが、それがわかっているのは、患者さん本人しかいません。その病気がどこから始まっていたのか。どんな治療がこれまでに行われてきたのか。どんなに世界中にコンピュータが普及していても、すべての情報が瞬間的にやり取りできるわけではありません。ひとつの病院内ですら、カルテの電子的な共有化などできていないわけですし、そのカルテも、完璧な記録であるという保障はどこにもありません。あなたの病気に関する大切な情報がカルテに書き込まれていない場合、治療にあたる医師が変わってしまったら一からの情報は伝達されないのです。その意味でも、患者自身が自分の病歴を記録することは、大きな責任なのです。

 記録には、自分のためのものと医師に伝えるためのものの二種類があります。自分のためだけのものであれば、どのような書き方でもかまいません。しかし、医師に自分の病歴を伝えるためには、短く、簡潔なものである必要があります。
 私自身がいただいて一番「嬉しいな」と思うのは、A4の用紙1ページか2ページ以内に必要な情報がまとめてあるものです。項目は事柄です。

何年何月  病名(正式な名称を書く) 診断した病院・医師名
何年何月  受けた検査の名前 その結果・数値など
何年何月  手術(術式名で) 担当医 結果
何年何月  経過 治療方針
何年何月  投与された薬の商品名・一般名・容量・期間
何年何月  薬の副作用の状態 薬の変更などがあればそれについて
現在    継続している治療・薬について
・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その他、これまでにかかったほかの病気

アメリカの患者さんでも、これが上手に作れるという人はそう多くはありません。もちろん、以前のカルテがある場合は、そこにほとんどの情報があるはずですが、逆にそれでは情報量が多すぎ、全体像が見えないこともあります。
あなたが作るカルテは、きちんとした文章にしようとする必要はありません。数行程度の箇条書きで、あなた自身が自分の病歴の流れを把握できればそれで十分なのです。
逆に、10ページ以上もあるとか、現在の年齢が50歳で、今の病気は2年前からなのに、小学校5年生のときの骨折からずっとこれまで経験した病気を書き連ねてあっても、それは無駄な情報ということになります。ただ、記録を消すことを進めているのではなく、はたして小学校5年生の時の骨折が本当に役立つかふくめて、自分の記録完全版から、サマリー版があってもいいのではないでしょうか。今現在の病気の治療に意味のある情報だけを選んで伝えることが必要です。

パソコンを使ってデータを残しておくのも、いい方法です。これですと、新しく付け加えたり、何度も書き直しができます。

また、カルテには、自分の心情を盛り込むのは避けましょう。あるいは別の用紙にまとめることが良いかもしれません。精神的なことを「私はこの副作用でひどくつらくて落ち込んでしまって……」というようにめんめんと書いてこられる方もたまにおられますが、日記風の文章で長々と書かれていると、読むほうとしても非常に読みにくく困ります。医療者側としては、もちろん、患者さんの気持ちは大事だと考えます。しかし、これから治療法を考えよう、一刻も早く始めたいという場合には、パッパと瞬間的に判断しなければならないことも多いのです。ですから、1ページから2ページ、さっと目を通して全体像が把握できる量が適度な量ということになります。簡潔版と詳細版を用意する手もあります。利用する医療の必要によって、使い分けることができます。
また、自分が求めている医療について書くことも、良いことだと思います。ステップ8でお話しますが、自分の希望を伝えることは参加型医療においては、非常に重要です。これは患者の「わがまま」とは違います。
生活の質を一番に考えてほしい。
今とできるだけ同じ生活が続けたい。
少しでも、長く生きたい。
つらい治療は避けたい。
いつも具体的に説明して欲しい。
簡潔に分かり易く説明して欲しい。
など、自分にとって重要度の高いことを書いておくのは、医師とのコミュニケーションに役に立つでしょう。
 この短いカルテがあるかどうかで、その後の医師と患者のコミュニケーションは大きく変わってきます。

コメント

自分カルテの大切さ

自分カルテの大切さ、外来でいつも痛感していました。(去年アメリカに来る前まで日本で看護師をしていました。チームオンコロジー研修では、本当にお世話になりました。)
患者さんはそれぞれの専門科の先生に診てもらっていることが増えてきて、心臓はこちらの病院、糖尿はあちらの病院、整形はむこうの病院なんてことが多くて、いざ検査しようとすると「先週検査しました」。でも、大丈夫だったってことしかわからなくて、何の検査をしたのか、何の確認だったのか知らないこと、結構多いです。
今の治療方針に疑問を感じて来たのに、これまでの治療経過が大雑把に抗がん剤をやったことしかわからなかったり、飲んでいる薬剤の名前がわからなかったりなんて言うことはよくありました。

人によっては様々な民間療法を加えていたり、医療不信を抱いてあっちこっちに受診していろんな治療を受けていたりすることもあります。どのような些細な情報でも、受け手である医療者としてはとても大切なものですが、単刀直入に対応したい臨床の場ではやはりその時の焦点にあった簡潔明瞭なものであることを望んでしまいます。
ただ、どのような状況でも自分の受けた医療の歩みは自分でわかるようにしておきたいものですね。そして、途中途中で自分なりのサマリーがまとまると、治療方針に疑問を感じたり、方針の変更が必要となった際に病気に立ち向かう有効な武器になってくることは間違いありません。私がいた病院の医師もそうでしたが、必要なときに、患者さんと一緒に経過概要を振り返って確認し、納得の上で治療の選択が出来るようにして行かれると良いのですが、それを医師に望んでしまうと多忙すぎる今の日本の医師の状況は過酷となるばかりになってしまいます。。。。何か良い手だてがあれば、良いのですが。。。

自分カルテの大切さ

コメントを頂きありがとうございます。

おっしゃるとおりで、自分のカルテを作ることがとてもたいせつなのですが、作るプロセスを医療従事者が患者指導することがとても大切です。はじめはじゃまくさいですけど、これが身についた患者さん採取的にコミュニケーションがよくなり、医療効率がよくなっています。

ただし、患者によっては膨大な資料集めにはしり、何十ページにわたってまとめを渡そうとする人たちがいます。それは本当にわかってない人たちですね。そういう患者にはなってほしくないです。資料集めをやめるべくだといいませんが、まとめることが大切です。

私も担当医から気軽にカルテの一部を要求するものの、その場で見てあとはいっしょくたんにファイルに入れておくだけで特に整理をしていません。乳がんは慢性疾病とも言われるゆえ、今からきちんと簡素にまとめたものを作っておかないと、と思っております。

母子手帳ではないですが、上野先生がお挙げになった事項をクロノロジカルに書いていけるような小冊子のようなものを各患者さんが持っておくというのもいいかもしれません。

パスポートのように見開きに病名や初診断の所見など書く欄を設けておき、次のページからは日付と治療内容・検査内容と結果などを箇条書きでかけるようにしたら、すっきりするのではないでしょうか。キーワードは先生のおっしゃるとうり「簡素化」と思います。

「自分で一から作ってください」というとすぐにできない、すぐにやらない人も多いかと思います。医療チームのほうでフォーマットをつくってあげるか、サービスで小冊子を発行しても良いのかと思います。

カルテのフォーマット

おっしゃるとおりでフォーマットがあると便利ですね。日本ではいくつかの製薬メーカーが無料で配布されており大変便利ですね。ただ、それも何ページにわたり、本人とってはいいのですが、医療従事者のわれわらにとっていいのは最大二ページぐらいの普通の紙に書いたまとめかもしれません。医療従事者側の注文が多くて申し訳ないのですが、実際にそのようにまとめると医療従事者に読まれる可能性が高くなると思います。

患者にできること

この記事を読んで、なるほど…と思って、新しい科に行くために
① 治療中の病気一覧、既往歴一覧、アレルギー・禁忌を1ページ
② 各病気の診断、治療の変遷、代表的な検査結果の時系列表をそれぞれ1ページ
③ 課題(今、困っていること)と、社会的状況など治療の進め方への希望を1ページ

を作ってみました。

総合病院の他科診察で、電子カルテがあるのに見ててくれなかったと嘆く方によく遭遇しますが、5年もの膨大かつ書いてない情報のあるカルテを読む時間があったら、ゆっくり診察したり勉強するのに時間を使ってほしい…というのが正直なところです。ドクターがドクターにしかできないことを一生懸命してほしいし、患者はできることをする…だからといって、できないこともあるから、お互い責めないで、できることを工夫するというのが、いい気がします。

最近、患者さんにこういうことをしてほしいという発信をするドクターが増えてます。それに対して、「患者はいっぱいいっぱいなんだから、何かを期待するようなことは辛い」という方もいます。
確かに病気で大変なときにドクターに「もうちゃんとしてくださいよ~」と言われたら困ってしまいけど、「ほんとはこうしてくれるといい」と伝えつづけられるといいです。

ちょっと話が逸れましたが(笑)

患者は一杯

たしかに重い、あるいは慢性疾患になると患者は「一杯」になるでしょう。自分自身の病気でも同じきもちです。でもこれを打破しないと「もっと一杯」になって、病気よりも病気以外のことで沈んでしまうかもしれません。また、沈んでることにさえ気づいていない患者が多いことが多いですね。でもある程度沈むと医療従事者にもなにもできなくなり、見守るしかないことも多いですね。
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プロフィール

チームオンコロジー(上野直人)

Author:チームオンコロジー(上野直人)
米国で腫瘍内科医をしています。日本のがん患者さんと医療従事者にMDアンダーソンがんセンターにおけるチーム医療をしってもらい、よりよく「がん」という病気に取り組んでほしいと思ってこのサイトをたちげました。

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