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[ステップ6 その治療(最新治療)は標準療法か] エビデンスを作るのは難しい

日本では、これまで比較的小規模の臨床試験が行われてきました。例えばある薬が60人中40人に効果があったとしましょう。この薬はエビデンスがあると言えるでしょうか。

ある治療法が標準療法になるための臨床試験、ある薬が効果があるかどうかの臨床試験は、数十人という単位、一人の医師が一つの病院で行えるような規模ではありません。そういう臨床試験が世界中で行われて、何千人という単位になったときに初めてエビデンスとして認められるのです。今の臨床試験は何千人という単位で行われています。ですから、僕のいる病院では60人という単位は確立されたエビデンスとは言いきれません。でも何かのきっかけになるんのでとても重要な医療の前進のステップになると思います。また、非常に珍しい病気だと60人の経験でもとても重要になってきます。特に小児がんあるいは希な癌腫に関しては症例数が限られるためにエビデンスをどのように考慮するかは臨床医としての腕の見せどころかもしれません。

しかし、臨床試験を寄せ集めるのは、実はかなり難しいことです。同じ条件で試験を行い、同じ条件で効果を判定しなくてはいけません。そして、数を多く集めなくてはいけません。このため、アメリカで行われる臨床試験では、全国的に申し合わせて試験を行い、どのような試験がどの病院で行われるか、インターネットなどで情報が公開されます。日本でも臨床試験あるいは治験の情報開示が国民に求められると思います。
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自分の夢(ビジョン)に向かって

和歌山県立医科大学卒業、横須賀海軍病院を経て米国での臨床研修
僕自身は京都生まれで,小学校を米国,中学・高校を滋賀県で過ごした帰国子女。英語も日本語も中途半端なので,大学時代は英会話学校に通った。1989年和歌山県立医大卒業後第1内科(内分泌)に入局し,専門を絞りたくなく,横須賀米海軍病院で1年研修。そこでのDr. Churchとの出会いがきっかけとなり,ピッツバーグ大学で3年間一般内科研修を行うことになった。
横須賀での研修はすべて英語だったが,日本人研修医に対する配慮があった。しかしピッツバーグでは日本人への容赦は全くなく,一人の研修医としての仕事を期待された。横須賀での研修は米国のそれに近いものだったが, それでも1年目は大変で,3年間かなり苦労した。米国では例えば黒人には特有の表現があったり英語を上手に話せない患者もいたりして,患者の言葉が理解できないときは困ったという。内科研修終了後,1993年米国内科専門医を取得した。
内科研修の経験から腫瘍内科に興味を持ち,テキサス大学MDアンダーソンがんセンター(MDA)で腫瘍内科および骨髄移植を研修(3年間)。1996年腫瘍内科専門医を取得した。腫瘍内科フェローの傍ら,テキサス大学生物医学系大学院に入り腫瘍分子細胞学の研究に没頭する。1999年PhD 取得。現在はトリプルネガティブや炎症性乳がんなど転移しやすい乳がんの遺伝子変異や細胞伝達系の変化を見ることにより,がんの転移システムを解明し,転移抑制薬を開発すべく研究と臨床をしている。1998年MDA助教授,2003年同准教授。2009年教授。

がんのチーム医療を日本へ紹介
がん医療における日米の大きな差は,技術や薬剤の違いではなく,患者,特に末期患者の病状や治療に対する納得の度合いだと感じていた。そこで,2001年に日本がん治療学会に招かれた際,MDAでの診療方法=チーム医療(multidisciplinary care)を紹介。腫瘍内科、腫瘍外科・放射線・病理の各医師,看護師,薬剤師の6人がパネリストとして,乳がんの通常診療をケーススタディとして見せた。それまでチーム医療が同学会で討論されたことはなく,大きな反響を得た。
これをきっかけに,患者中心のがんのチーム医療を日本に広めるため,日本で年1回,医師,看護師,薬剤師各20人を対象に,『チームオンコロジー』と命名した3日間のワークショップを開催している。また,毎年このなかから6人がMDAで5週間のトレーニングを受講。現在42人になった同トレーニング終了者が日本で指導を行っている。これらの活動の補強として,ウエブサイトも設置。さらに,聖路加国際病院,慶応大学と姉妹提携し,医師,看護師,薬剤師12人を対象に,MDAで2日間のワークショップも実施している。

振り返ってみると
卒業して20年たって、内科教授までなったが、自分の様々な失敗と成功を考えると三つ思いつくことがある。これから医師になる人たちあるいはこれから医師として自分を高める事を考えている人へのアドバイスに少しでもなればと思う。

1.最初はいろいろ経験する
最初から専門を絞らず,いろいろ経験してジェネラリストを目指す。時間をかけて良い医師になるのが大切。みんな焦りすぎ、良い専門家になるには最低10年かかる。

2.よいメンターを見つけ,自分もよいメンターになる
私には5人のメンター,MDAのDr. Gabriel N. Hortobagyi, Dr. Richard E.Champlin, Dr. Mien-Chie Hung, 横須賀海軍病院のDr. Preston Church,和歌山県立医科大学の南條輝志男先生(現学長)がいて,長年にわたりMentor-menteeの良好な関係を保っている。一方で,メンティも数多く抱えている。よいメンティおよびメンターになるにはその心構えが大事。つまり人の世話を常にし、ビジョンを共有し、後輩のビジョンを育てること。後輩が伸びるれば、仲間として大切にすること。つまりメンティーシップとはメンティの職業かつ人格の発展を助けるために,メンターが賢明かつ信頼の高い助言を与える長期の関係である。
メンティは心を開いて自分の夢や目標,問題点などを正直に伝える。助言や指導を受容する態度を持つ。積極的に考えを述べたり質問したりする。短期・中期・長期のキャリアプランを立て,一生懸命に努力する。進展状況をタイムリーにフィードバックする。
メンターは模範となり、自分の持てる能力のすべてを使って教育・指導を行う。長期にわたり建設的な助言や情報を与える。現実的な期待を持って激励する。
両者ともに共通の目標を持ち,お互いに尊敬・尊重し合って,良好な関係を保つ努力をする。正しい行いをする。お互いに守秘義務がある。

3.将来のビジョンや夢を持つ
 近年日本での『医療崩壊』という言葉の流行を危惧している。医療従事者はそれを理由に努力を怠ってはいけない。現在この言葉をなくすため,対がん協会と協力してがんドリームチームキャンペーンを展開準備中。夢を描きどんな状況の仕事にも夢や長期展望を持って,問題点を明確にし,周囲と対話・協力しながら前向きに改善努力を続けること,倫理に基づき正しい行いをすることが重要。ゴールを持っている医師は多いが10年後のビジョンを描ける人は少ない。

プロフィール

チームオンコロジー(上野直人)

Author:チームオンコロジー(上野直人)
米国で腫瘍内科医をしています。日本のがん患者さんと医療従事者にMDアンダーソンがんセンターにおけるチーム医療をしってもらい、よりよく「がん」という病気に取り組んでほしいと思ってこのサイトをたちげました。

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